Saturday, January 21, 2017

[冬の観能の夕べ]★ 能鑑賞 in KANAZAWA



以前から興味があったお能!

いつも帰国のタイミングが合わずチャンスを逃していたのですが、今回金沢滞在中にちょうど開催していた「冬の鑑能の夕べ」を観てきました。

「能楽」は室町時代より650年以上にわたって受け継がれ、現在も生き続けている世界最古の舞台芸術。主人公が能面をつけて演舞する日本独特の演劇で、ユネスコ無形文化遺産に指定されています。歴史を遡ると、奈良時代あたりに古代ギリシャの仮面劇がシルクロードを通って中国の芸能と混ざり合い、仏教とともに日本に渡来、散楽となり、江戸時代までは猿楽として親しまれていたそうです。明治以降、現在は「能」と「狂言」を併せて「能楽」と呼び、一般に用いられるようなりました。



能楽堂はとても清楚で格式高い舞台作りになっていて、思わず緊張感で背筋がピシッと伸びますね。

今回、私が拝観したのは、 狂言「長光」・能「金札」。

狂言は、いわゆる滑稽な物語の劇で、物語の中に喜怒哀楽や人間ならではの可笑しさ・こころ(欲・弱さ・情など)を、庶民的な観点から喜劇的に描く日本最古の会話劇。「狂言」はテーマを面白おかしく表現、そして「能」はそのテーマを舞や音楽を加えて表現しているものなのかな?と感じました。その音楽も贅沢な生演奏。鼓に太鼓に笛に、そして独特な掛け声「ぃよぉ~~」「ぉお~~」「ぃや~~」などと言い回しも発音もいろいろな表現があり、声も一種の楽器の音色なのかもしれません。昔は楽器が希少だったため、数種類の声質でバリエーションの幅を追加したのかもしれませんね。



能は、「幽玄美」が描かれた「謡と舞」を中心に展開する物語です。物語の題材は、平家物語、源氏物語、伊勢物語や土地に伝わる伝説などです。実在した人物が幽霊となって現れ、生きていた頃の恋物語や戦物語を回想するなど、「神・愛・情念」の精神世界を描いています。このような幽玄の世界を描くため、台詞はすべて口語と離れた文章形式がとられています。演者(主人公=シテ)は、現実離れした登場人物を演じるため、能面をつけます。能面についてですが、地元では昔から能面の事を「お面様」と呼び、神社などに奉納されているものもあって、神的なものとして扱われ伝えられているとのことでした。とてもスピリチュアルですね。

狂言も能も、室町時代の口語で会話されるので、現代人の私には何を話されているのか正直わからない部分が多く、しかも全ての動作・言葉遣いがとてもゆっくりなので、途中眠くなるかもしれませんが(スミマセンw)、話し方やお囃子さんの演奏の仕方(強弱)によって、場面ごとの主人公の心情やストーリー展開が伝わってきました。


(物語の内容は公演パンフレットに説明が記載されており、舞台が始まる前に金沢大学教授による解説もありました)


正方形の能舞台のスペースを上手に使い演じる動作、特に足の運び方、間の取り方、上体のスムーズな移動など、見ていて清々しい美しさがあり、セリフも丁寧でしっかりと、ひとつの言葉にも感情・魂が込められていて「動作」「言葉」「話し方」、それら一つ一つの所作の大切さを気づかせてくれました。また、能面をつけ表情を見せずに主人公の心情を舞で表現できるのは、簡単に成せる技ではないと思います。

能の言葉や動きは現代では馴染みが少ないですが、能は感性で観るものだと思いました。

インスピレーションを沢山得たので、近い将来、シンガポールでの舞台や創作活動でそれを活かしたいな。ジャンルは異なりますが、舞台で舞い表現する者として、共通する大切な点は多いです。

[冬の観能の夕べ]は3月まで開催しているので、ご興味のある方は要チェック。

私もタイミング合えばまた足を運びたいです! :)



[Note]♥ Noh (能) is a form of theater involving music, dance and drama, originating in the 14th century in Japan, and was listed as an Intangible Cultural Heritage by UNESCO. 

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